厨房で仕上げられる、鳥飼なすを使った一皿。

How to eat it

鳥飼なすの食べ方Cooking the Torikai eggplant

厚く切って、じっくり火を入れる。 Thick slices, patient heat

鳥飼なす(とりかいなす)は、ふつうの長なすとは扱いが違います。ソフトボールほどの丸なすで、収穫期の実は五百グラム前後。果肉が緻密で、煮ても炒めても崩れにくく、自然な甘みがあります。この性質を活かすなら、薄切りより厚切り、強火の短時間よりじっくりです。

産地でこの野菜をつくっている生産者として、いちばん間違いのない食べ方から順に書いておきます。年に一度、旬の二か月しか出回らない野菜です。手に入ったときに迷わないように。

The classic

まずは、田楽Start here, if you only make one thing

摂津で昔から食べられてきた形です。皮ごと厚く切って、焼いて、味噌をのせる。それだけで、この野菜の甘みと緻密さが全部わかります。

  1. 厚さ2〜3センチの輪切りにする

    ヘタを落とし、皮はむかずに輪切りにします。薄いと火が入りすぎて食感が消えます。厚くていい、というのがこの野菜のいちばんの特徴です。アク抜きの水にさらす必要はほとんどありません——えぐみが少なく、長く水に取ると香りと甘みが逃げます。切り口の色が気になるときだけ、さっと数分で十分です。

  2. 油をなじませて、弱めの中火で焼く

    なすは油を吸います。先に切り口へ薄く油をぬってから焼くと、鍋の油を吸いすぎません。片面をじっくり焼いて焼き色をつけ、返してふたをし、蒸し焼きにします。竹串がすっと通れば火が入っています。急がないほうが、中がとろりとします。

  3. 味噌をのせて、あたたかいうちに

    味噌・みりん・砂糖を弱火で練った田楽味噌をのせます。白味噌なら甘く、赤味噌ならきりっと。木の芽や白ごまをふると香りが立ちます。味噌は塗りすぎないこと。この野菜は、それ自体に十分な甘みがあります。

Other ways

田楽のほかにFour more that work

揚げ浸し

くし形か厚めの半月に切り、高めの温度で素揚げして、だし・醤油・みりんの浸し地へ。崩れにくいので形が残ります。冷やしてもおいしく、夏はこれがいちばん減ります。

丸ごと焼きなす

皮に浅く切れ目を入れ、丸のままグリルや直火でじっくり。皮が真っ黒になるまで焼いて剥くと、中は蒸し上がった状態です。しょうがと醤油、あるいは出汁びたしで。

煮物・味噌汁

煮くずれしにくい性質がそのまま活きます。厚揚げや鶏肉と炊き合わせると、だしを吸って甘みが出ます。味噌汁に入れるときも厚めに切るのがおすすめです。

ステーキ仕立て

市内の料理人がよくやる形です。厚い輪切りを両面じっくり焼いて、肉のように主役に据える。緻密な果肉なので、これが成立します。バターや味噌だれとよく合います。

毎年夏、摂津市商工会が主催する鳥飼なすワンでは、市内の飲食店や食品製造会社がそれぞれ鳥飼なすを使った一品を出します。産地の名前がついた野菜が、産地の店で一斉に出る。食べ方を探しているなら、この時期に市内を歩くのがいちばん早い方法です。

ふたつ並んで実る鳥飼なす。

Choosing and keeping

選び方と、保存のしかた。 Before you cook it

選ぶとき。皮に張りと艶があり、手に持ってずっしり重いもの。ヘタの切り口が新しく、とげがぴんと立っているものが採れたてです。私たちが畑で毎日枝を吊り、葉を落として回るのは、この艶を守るためです。

置く場所。なすは低温に弱い野菜です。冷蔵庫の冷たいところに裸で入れると、数日で皮にへこみが出ます。新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室へ。それで三日から五日ほど。夏場でなければ、風通しのよい涼しい場所に置いておいても構いません。

長く持たせるなら。使いやすい厚さに切って、生のまま冷凍できます。凍ったまま煮物や味噌汁へ。焼いてから冷凍しても味は落ちません。旬が短い野菜なので、多めに手に入ったときはこの手を使います。

Where to get it

鳥飼なすを手に入れるIt is only here for a while

旬は初夏から夏です。摂津市によれば生のなすはおおむね6月から7月の販売、大阪府の資料では収穫時期は7月から9月とされています。秋なすは9月ごろ。いずれにせよ、一年のうち限られた時期しか出回りません。

当社の鳥飼なすは、摂津の農家と食卓をつなぐ食材ECサイト「セッツマルシェ」から購入できます。市内の飲食店へは「お野菜配送便」で朝採りを直接お届けしており、仕入れのご相談も承っています。摂津市役所の売店では、加工品の「まぼろしの鳥飼なす漬」も販売されています。

FAQ

食べ方について、よくある質問Frequently asked

鳥飼なすのいちばんおいしい食べ方は何ですか。
定番は田楽です。皮ごと厚さ2〜3センチの輪切りにして、油をなじませて弱めの中火でじっくり焼き、練った田楽味噌をのせます。果肉が緻密で煮くずれしにくいため、厚く切ってゆっくり火を入れる調理がいちばん向いています。ほかに揚げ浸し、丸ごとの焼きなす、煮物、厚切りのステーキ仕立てもおすすめです。
鳥飼なすはアク抜きが必要ですか。
ほとんど必要ありません。えぐみが少なく、自然な甘みのある品種です。長く水にさらすと香りと甘みが逃げてしまいます。切り口の変色が気になるときだけ、数分だけ水にさらせば十分です。
普通のなすと同じように使えますか。
使えますが、性質が違うので切り方を変えるとよくなります。ソフトボール大の丸なすで収穫期の実は五百グラム前後、果肉が緻密で煮ても炒めても崩れにくいのが特徴です。薄切りにして強火で手早く、という長なすの使い方より、厚く切ってじっくり火を入れるほうが持ち味が出ます。
鳥飼なすの保存方法を教えてください。
低温に弱いので、冷蔵庫に裸で入れないでください。新聞紙やキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、野菜室へ。それで3〜5日が目安です。長く持たせたい場合は、使いやすい厚さに切って生のまま冷凍し、凍ったまま煮物や味噌汁に使えます。焼いてから冷凍しても味は落ちません。
皮はむいたほうがいいですか。
むかないことをおすすめします。皮にはナスニンクロロゲン酸というポリフェノールが含まれています。皮は柔らかく、田楽でも揚げ浸しでも気になりません。丸ごとの焼きなすにするときだけ、焼いたあとに剥きます。

出典・参考

調理の手順と保存の目安は、当社が産地で日常的に行っている扱いに基づくものです。